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アンチウイルスとは?意味や機能、IPS・EDRとの違いを解説

アンチウイルスとは?意味や機能、IPS・EDRとの違いを解説

アンチウイルスとは?意味や機能、IPS・EDRとの違いを解説

アンチウイルスとは?意味や機能、IPS・EDRとの違いを解説

最終更新日

テレワークの普及やクラウド利用の拡大に伴い、企業のデバイス(PCやスマートフォン)を狙うサイバー攻撃は日々高度化しています。このような環境下において、「アンチウイルス(ウイルス対策ソフト)」は、企業の情報資産を守るための最も基礎的かつ重要な防波堤となります。

しかし、近年はランサムウェアやファイルレスマルウェアなど、従来型のアンチウイルス機能だけでは検知・防御が困難な未知の脅威が急増しています。そのため、企業は「ただアンチウイルスを導入する」だけでなく、次世代型のNGAVや、侵入後の事後対策を担うEDR・MDRを含めた包括的なエンドポイントセキュリティ戦略を構築することが求められています。本記事では、アンチウイルスの基礎知識から2026年最新のセキュリティ動向、企業規模別の選び方、さらには実際の国内企業の導入事例までを体系的に解説します。

アンチウイルスの定義や主要機能、IPSやEDRとの違いを図解によって分かりやすく比較解説したインフォグラフィック。

アンチウイルス(ウイルス対策ソフト)とは?

本記事のポイント

  • アンチウイルス(antivirus)とは、端末をマルウェアから守るソフトウェアです。

  • IPSがネットワーク境界を守るのに対し、アンチウイルスは端末内部を監視します。

  • 従来型の機能だけでは、未知の脅威を完全に防ぐことは困難になっています。

アンチウイルスとは、コンピュータウイルスをはじめとするマルウェア(悪意のあるソフトウェア)の侵入や実行を防ぎ、端末を保護するソフトウェアです。

antivirusの意味と基本機能

「antivirus」という言葉は、英語で「抗ウイルス」を意味します。ITセキュリティの文脈において、アンチウイルス(またはアンチウィルス)と呼ばれることもありますが、一般的にはマルウェアを検知・駆除するためのソフトウェア全般を指します。
基本的なアンチウイルス機能には、既知のウイルスの特徴を記録した「パターンファイル(シグネチャ)」と、端末内のファイルやプログラムを照合して脅威を見つけ出す「パターンマッチング方式」が採用されています。リアルタイムでファイルの読み書きを監視し、危険なプログラムが実行される前にブロック・隔離・削除を行うのが主な役割です。

アンチウイルスとIPS・ファイアウォールの違い

アンチウイルスと混同されやすいセキュリティ技術に、IPS(不正侵入防御システム)やファイアウォールがあります。両者の違いを一言で表すと、防御する「場所」と「対象」が異なります。
ファイアウォールがネットワークの出入り口で「通信の許可・拒否」を判断し、IPSがその経路上で「不正な通信パケット」を検知して遮断するのに対し、アンチウイルスはPCやサーバーといった「エンドポイント(端末)の内部」でファイルやプロセスの動作を監視します。これらは競合するものではなく、ネットワーク境界と端末内部の両方を守る「多層防御」として組み合わせて利用すべきものです。

IPSとアンチウイルスの防御範囲の違い

▲ IPSとアンチウイルスの防御範囲の違い

アンチウイルスを導入しないとどうなる?(2025年〜2026年の最新データ)

アンチウイルスを導入しない場合、サイバー攻撃により多大な金銭的・時間的被害を受け、事業存続の危機に陥ります。

中小企業の平均被害額は「73万円」、復旧に「5.8日」

「自社は中小企業だから狙われない」という認識は、現代において非常に危険な誤解です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2025年2月に速報版を公開した「2024年度中小企業における情報セキュリティ対策の実態調査」によると、過去3期内にサイバーインシデントが発生した企業の平均被害額は73万円に上りました。さらに、そのうち9.4%の企業は100万円以上の被害を受け、最大で1億円の被害が発生したケースも報告されています。
また、事業復旧までに要した期間の平均は5.8日であり、2.1%の企業は50日以上を要しています。数日間にわたって業務が停止することによる機会損失や信用の失墜は計り知れません。

取引先を狙う「サプライチェーン攻撃」のリスク

同調査において、サイバーインシデントにより「取引先に影響があった」と回答した企業は約7割に達しています。また、不正アクセスされた企業の約2割が「取引先やグループ会社を経由して侵入された」と回答しています。大企業を直接攻撃するのではなく、セキュリティ対策が手薄な中小企業を踏み台にする「サプライチェーン攻撃」が多発している証拠です。適切なアンチウイルス対策を行わないことは、自社だけでなく取引先まで被害が及ぶ可能性があります。

アンチウイルスから最新エンドポイントセキュリティへの進化と種類

従来型のアンチウイルスだけでは防げない脅威が増加しており、NGAVやEDRといった最新ソリューションへの移行が急速に進んでいます。

従来型アンチウイルス(EPP)

EPP(Endpoint Protection Platform)と呼ばれる従来型のアンチウイルスは、前述の通りパターンマッチング方式を中心に既知のマルウェアを防ぎます。導入が比較的容易でシステム負荷も軽いのが特徴ですが、新種のマルウェアや、OSの正規ツールを悪用してメモリ上だけで不正コードを実行する「ファイルレスマルウェア」などの未知の攻撃には対応できないという限界があります。

次世代アンチウイルス(NGAV)

NGAV(Next Generation Anti-Virus)は、AI(人工知能)や機械学習、振る舞い検知などの高度なテクノロジーを活用して、未知の脅威を予測・ブロックする次世代型のソリューションです。シグネチャが存在しない攻撃やファイルレス攻撃に対しても、プログラムの不審な動作をリアルタイムで分析して実行前に遮断することが可能です。

事後対策を担う「EDR」と運用代行「MDR」

どんなに強固なNGAVを導入しても、高度なサイバー攻撃を100%防ぐことは不可能です。そこで「侵入されることを前提」として事後対策を担うのがEDR(Endpoint Detection and Response)です。EDRは端末のログを常時監視し、不審な挙動を検知して脅威の封じ込めや調査を行います。そして、このEDRの高度な運用を自社に代わってセキュリティの専門家が24時間365日体制で代行するサービスがMDR(Managed Detection and Response)です。

各ソリューションの機能比較

各セキュリティ製品の役割と防御タイミングの違いは以下の通りです。

ソリューション

主な役割

防御のタイミング

アプローチ手法

従来型AV(EPP)

既知のマルウェアの検知・ブロック

事前(侵入時)

パターンマッチング

NGAV

未知の脅威、ファイルレス攻撃のブロック

事前(侵入・実行時)

AI、機械学習、振る舞い検知

EDR

侵入後の監視、脅威の検知、調査、隔離

事後(侵入後)

常時ログ収集、異常検知

MDR

EDR等の運用監視・インシデント対応の代行

監視・事後

専門アナリストによる24時間運用

アンチウイルスから最新ソリューションへの進化と役割

▲ アンチウイルスから最新ソリューションへの進化と役割

【失敗パターン】EDR導入後に陥りやすい「運用の壁」とは?

高度なEDRを導入したものの、「アラート疲れ」と「専門知識不足」により運用が破綻してしまうケースが多発しています。

膨大なアラートによる担当者の疲弊

EDRは、端末内のあらゆる微細な異常や疑わしい動作を検知するため、日常の正常な業務プロセスであっても誤検知として大量のアラートを発行することがあります。専任のセキュリティチームを持たない一般的な情報システム部門が、毎日のように飛んでくる膨大なアラートをすべて確認することは現実的ではなく、結果として重要な脅威を見逃してしまう「アラート疲れ(アラート・ファティーグ)」に陥ります。

脅威の判定と対応におけるスキル不足

アラートが本物のマルウェアによるものか、単なる業務ツールの誤検知かを正しく判定するには、高度なセキュリティ知識とフォレンジック分析のスキルが必要です。また、サイバー攻撃は夜間や休日に発生することも多く、情シス部門だけで24時間365日体制の監視・初動対応を行うのは不可能です。EDRを導入する場合は、前述のMDRサービスとセットで運用をアウトソースすることが現実的な解になります。

企業規模別!アンチウイルスを選ぶ際の<a href="https://admina.moneyforward.com/jp/blog/endpoint-security" target="_blank">ポイント</a>

自社の規模や体制に合わない製品を選ぶと、導入しても運用できずに形骸化するケースが少なくありません。以下では、企業規模ごとに現実的な選択肢を整理します。

50名未満の小規模企業

専任の情シス担当者が不在(あるいは兼任)であることが多いこの規模では、導入と管理の手間がかからない「クラウドベースのNGAV」を中心に選定しましょう。Windows Defender等のOS標準機能に加え、管理画面が一元化されており、PCやスマートフォンを一括で保護できるパッケージ製品が適しています。

50名〜300名の中規模企業

大企業のサプライチェーンの一部として標的にされやすい規模です。従来型アンチウイルスからの脱却が急務であり、「NGAV+EDR」の導入が推奨されます。ただし、運用リソースが不足しがちなため、自社運用にこだわらず、MDRサービスを活用して24時間監視と初動対応を専門家に任せるアプローチが最も確実です。

300名以上の大規模企業

国内外に複数拠点を持ち、ITインフラが複雑化している大規模企業では、エンドポイント(端末)だけでなく、ネットワーク、クラウド、メール、認証基盤など全体を横断して相関分析を行うXDR(Extended Detection and Response)の導入を視野に入れます。社内に専門のSOC(Security Operation Center)を内製するか、高度なマネージドセキュリティサービスへ委託するかを判断する段階に入ります。どちらの場合も、インシデントの早期発見と初動対応の体制を具体的に設計しておくことが不可欠です。

企業規模に合わせた適切なセキュリティ製品の選び方

▲ 企業規模に合わせた適切なセキュリティ製品の選び方

国内企業のアンチウイルス・EDR導入事例

自社の課題に合わせた製品選定と運用サポートの活用が、セキュリティ強化と工数削減の両立に繋がります。

事例1:株式会社エーアイ(情シスの負担軽減と防御力強化)

AI音声関連技術やCRMソリューションを展開する株式会社エーアイでは、少数精鋭の情シス体制において、従来型アンチウイルスの運用課題に直面していました。

  • 導入前の課題:従来型アンチウイルスによる業務ファイルの誤検知やOSアップデートへの対応遅延により、運用負荷が増大。未知の高度な攻撃への不安に加え、アラート判断を自社だけで行うことによる対応遅れのリスクを抱えていた。

  • 施策:株式会社網屋が提供する自律型EDR「SentinelOne」と、専門家による運用サービス(MDR的支援)を導入(株式会社網屋 公式サイト参照)。

  • 成果:AIの自動対応により、夜間・休日を問わず迅速な初動対応(端末隔離など)が可能に。さらに専門家の運用支援により、アラート対応にかかる情シスの負担が大幅に軽減され、業務効率化とセキュリティ強化を同時に実現した。

事例2:株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)

国内大手ISPでありITソリューションを提供する株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)の社内情報システム部門の事例です。

  • 導入前の課題:以前はPCとスマートフォンに別々のアンチウイルスを導入していたが、パターンファイルに依存する従来型では未知の脅威に対応できず、EDRの導入が急務となっていた。

  • 施策:エンドポイントセキュリティ製品として「Microsoft Defender for Endpoint (MDE)」を導入。さらに自社が提供するSOCサービス「IIJ C-SOCサービス」を組み合わせ、24時間365日の監視体制を構築。

  • 成果:MDEによりサーバー・PCのふるまい検知が可能となり、インシデント状況が可視化された。また、SOCの活用により月に約300件発生していたアラート対応工数が「ほぼゼロ」に激減。結果として年間約1,000万円のコスト削減を実現した(IIJ 公式サイトの事例情報を参照)。

よくある質問

Q:アンチウイルスとは何ですか?(antivirusの意味)

A:アンチウイルス(antivirus)とは、コンピュータウイルスやランサムウェアなどのマルウェア(悪意のあるソフトウェア)から、PCやスマートフォンといったデバイスを保護するためのセキュリティソフトウェアのことです。

Q:アンチウイルスとIPSの違いは何ですか?

A:IPS(不正侵入防御システム)がネットワークの経路上で不正な通信を監視してブロックするのに対し、アンチウイルスは端末(エンドポイント)の内部でファイルやプロセスの動作を監視・駆除します。両者を組み合わせた多層防御が推奨されます。

Q:Windows Defenderだけでウイルス対策は十分ですか?

A:Windows 10以降に標準搭載されているWindows Defenderは、基本的なウイルス対策機能として非常に優秀です。しかし、高度な標的型攻撃やランサムウェアの被害を完全に防ぐためには、企業規模に応じてEDRやMDRを追加導入し、事後対応の体制を整えることが推奨されます。

Q:EDRを導入すれば、アンチウイルスは不要ですか?

A:不要ではありません。EDRは「侵入された後の事後対策」を主な役割とするため、既知のマルウェアを水際でブロックする「事前対策」であるアンチウイルス(EPPやNGAV)と組み合わせて使用する必要があります。

まとめ

アンチウイルスは、企業の情報資産を守るための基本中の基本です。しかし、IPAの最新データが示す通り、ランサムウェアやサプライチェーン攻撃が猛威を振るう現在、従来型のパターンマッチングだけに依存した対策では自社や取引先を守り切ることはできません。自社のIT環境と運用体制を見直し、未知の脅威を防ぐNGAVや、万が一の侵入に備えるEDR、そして運用を支えるMDRへのアップグレードを早急に検討しましょう。手始めに、今使っているセキュリティソフトの名前・バージョン・更新状態を確認するだけでも、現状把握は大きく前進します。以下のチェックリストを参考に、自社の対策状況を見直してみてください。

✅ 現在導入中のセキュリティソフトの名称・バージョンを確認した
✅ パターンファイル(シグネチャ)の更新が自動化されているか確認した
✅ ファイルレスマルウェアなど未知の脅威への対応状況を把握した
✅ EDR/MDRの要否を社内の議題として検討した
✅ サプライチェーン攻撃を想定したセキュリティポリシーを見直した

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team

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