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ワームの意味とは?ウイルスとの違いや最新被害事例と5つの対策

ワームの意味とは?ウイルスとの違いや最新被害事例と5つの対策

ワームの意味とは?ウイルスとの違いや最新被害事例と5つの対策

ワームの意味とは?ウイルスとの違いや最新被害事例と5つの対策

最終更新日

※本記事はサイバーセキュリティの実務経験を持つ編集部が調査・執筆し、情報セキュリティの専門知識を持つ監修者が内容を確認しています。

デジタル社会において、コンピューターやネットワークの安全性は企業存続に直結する重要課題です。本記事は、自社のサイバー防御を担う情報システム担当者および経営層に向けて、悪意のあるソフトウェア「ワーム」の基礎から最新動向までを網羅的に解説します。

ワームは自らを複製し、他のプログラムやデバイスに自己増殖する能力を持っており、企業に数十億円規模の損害を与えるケースが急増しています。ここでは、ワームとはどのような意味を持つのか、ウイルスとの明確な違いは何かを整理します。そのうえで、2026年時点の最新の感染リスク(VPN経由の侵入やAIワームなど)を軽減するための実践的な予防策と対策について詳しく解説します。自社のデジタル環境の安全を守る一助としてご活用ください。

ワームとコンピュータウイルスの違いや感染経路、およびネットワーク経由で拡散するワームの仕組みと具体的な5つの対策ポイントを整理した解説図。

ワームとは?意味やウイルスとの違い

本記事のポイント

  • ワームは単独で自己増殖し、ネットワークを介して爆発的に拡散するマルウェアである。

  • 最新のワームはランサムウェアと統合し、多重恐喝やデータの完全破壊を行う。

  • 国内企業のランサムウェア感染経路の86%はVPNやRDPなどの脆弱性から発生している。

  • 侵入を防ぐだけでなく、侵入後の対策となる「EDR」の導入が企業の急務である。

ワームとは、単独で自己増殖し、ネットワークを経由して他のシステムへ自動的に感染を広げるマルウェアです。

ワームの自己複製機能と意味

ワームの最も重要な特徴は、宿主となるファイルを必要とせず、単独で自己複製できる点です。

ワーム(Worm)は「虫」を意味し、システム内に虫が這い回るようにネットワークの脆弱性を突いて次々と他のデバイスへ侵入します。感染したコンピューターのリソースを勝手に使用してコピーを作成するため、爆発的なスピードで感染が広がるという厄介な性質を持っています。ワームの拡散を防ぐには、ネットワークの出入り口の監視とOSの最新化が不可欠です。

ワームとウイルスの違い

ワームは独立して動作可能であり、宿主となるファイルを必要とするウイルスとは根本的に異なります。

日常的に混同されがちですが、ワームウイルスという言葉は厳密には正確ではありません。従来のウイルスは、ExcelやWordといった他のファイルやプログラムに「寄生」することで感染し、ユーザーがそのファイルを実行しなければ増殖しません。一方、ワームはファイルに依存せず、ネットワークを通じて勝手に新たなターゲットを見つけ出します。ワームとウイルスの違いを正確に把握することは、適切な防御策を講じるための第一歩です。

比較項目

ワーム

ウイルス

増殖の仕組み

単独で自己増殖可能(宿主が不要)

他のファイルやプログラムに寄生(宿主が必要)

感染のきっかけ

ネットワーク接続のみで自動感染

ユーザーによるファイル実行などの操作

拡散スピード

非常に速い(ネットワーク経由で連鎖的)

比較的遅い(ファイルのやり取りに依存)

ワームとウイルスの感染メカニズムの違い

▲ ワームとウイルスの感染メカニズムの違い

【2026年最新】ワーム・マルウェアの動向と深刻な事例

ワームの攻撃手法は高度化しており、AIを悪用した新たな脅威や、著名企業における大規模な被害事例が相次いでいます。

AIワームの台頭とサプライチェーン攻撃

生成AIを標的とした「AIワーム」や、開発環境を狙う「GlassWorm」などの新種が猛威を振るっています。

近年、ユーザーがクリックせずとも生成AI(LLM)のプロンプトを悪用して自己複製・データ窃取を行う概念実証型AIワーム「Morris II」が登場し、次世代の脅威として警戒されています。また、開発者のパッケージ管理システム(npmなど)を標的とし、正規のソースコードに不可視文字で悪意あるコードを埋め込む「GlassWorm」や、クラウド認証情報を窃取して自己増殖する「Shai-Hulud」といった高度なワームが、ソフトウェアサプライチェーン全体を脅かしています。

日本国内企業における深刻なワーム事例

サイバー攻撃は単なるシステム障害ではなく、数十億円規模の特別損失をもたらす重大な経営リスクです。

2024年に発生した日本を代表する企業の大規模被害事例は、ワーム型マルウェアの破壊力を物語っています。株式会社KADOKAWAは、ランサムウェアと結合した高度なワーム攻撃を受け、国内最大級の動画サービス「ニコニコ動画」や出版・物流システムが長期間停止しました。この事態により、約84億円の売上減少と、約47億円の営業利益減少が見込まれ、調査・復旧に最大36億円の特別損失を計上しています(同社IR情報・2025年3月期決算発表より)。また、株式会社サイゼリヤでもランサムウェアによるシステム障害と個人情報漏洩が発生し、ワームの被害事例からわかるように、自社は大丈夫という慢心が最も危険な隙となります。特筆すべきは、KADOKAWAのような大規模なITインフラを持つ企業でさえ、VPN経由の初期侵入から全社的なシステム停止までの時間が極めて短かった点です。この事実は、侵入後の対応速度が被害規模を左右するという「侵入を前提とした防御」の重要性を、国内企業に改めて突きつけています。

企業が陥りやすいワーム対策の失敗パターン

「アンチウイルスソフトを入れているから安全」という思い込みが、ワームによる被害を拡大させる最大の原因です。

アンチウイルス(EPP)への過信とEDRの未導入

日本の企業では、侵入を前提とした「EDR」の導入率がわずか19%にとどまっており、防御体制に大きな穴が空いています。

従来のセキュリティソフト(EPP)は既知のウイルスを入り口で防ぐのには有効ですが、高度に偽装された最新のワームやゼロデイ攻撃を完全に防ぐことは不可能です。USEN ICT Solutionsが実施した全国1,932名の情シス担当者を対象とした実態調査(2024〜2025年)によると、侵入後の不審な挙動を検知して被害を封じ込める「EDR(Endpoint Detection and Response)」を導入している企業は全体の約19%しかありませんでした。旧来の対策に依存し、侵入後の備えを怠ることが最大の失敗パターンです。

VPNやRDPの脆弱性放置

企業ネットワークへのランサムウェア・ワーム侵入の86.0%は、VPN機器やリモートデスクトップ(RDP)経由で発生しています。

警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等」によると、企業のランサムウェア感染経路のうち、VPN機器からの侵入が55.0%、RDPが31.0%を占めています。テレワークの普及によりVPNの利用が急増しましたが、ファームウェアのアップデート(パッチ適用)を怠ったり、弱いパスワードを放置したりすることで、攻撃者に侵入口を与えています。ゲートウェイ機器のアップデート状況を把握していない企業は3割に上るという調査結果もあり、境界防御の甘さが命取りになります。

EPP(従来型アンチウイルス)とEDRによる多層防御の仕組み

▲ EPP(従来型アンチウイルス)とEDRによる多層防御の仕組み

ワームに感染してしまった場合の影響

ワームに感染すると、単なるパフォーマンス低下に留まらず、データの完全破壊や多重恐喝の標的となります。

多重恐喝と業務の完全停止

現代のワームはランサムウェアと一体化し、データを暗号化するだけでなく、機密情報を公開すると脅す「多重恐喝」を行います。

ワームがネットワーク内に侵入すると、他のマルウェアを呼び込み、システム全体を掌握します。企業データが暗号化されて業務が停止するだけでなく、事前に窃取された顧客情報や機密データがダークウェブに公開されるリスクが生じます。さらに顧客や取引先に直接連絡して圧力をかける「三重恐喝」などの手口も定着しており、企業の評判や信頼を根底から破壊します。

デッドマンスイッチによるデータの破壊

最新のワームには、通信が遮断されたことを検知すると自動的にシステムを完全に破壊する機能が備わっているものがあります。

サプライチェーンを狙うワーム「Shai-Hulud」の亜種には、管理者によるトークンの無効化やC2サーバーとの通信遮断を検知すると、被害者のホームディレクトリ全体を破壊する「デッドマンスイッチ」が組み込まれています。これにより、単なる情報窃取から破壊活動へと戦術が凶悪化しており、感染に気づいた後の安易なネットワーク切断がさらなる被害を招くケースも報告されています。

最新ワーム感染による被害拡大・深刻化のステップ

▲ 最新ワーム感染による被害拡大・深刻化のステップ

ワームの予防と対策:すぐ使えるチェックリスト

ワーム被害を防ぐには、侵入経路の遮断と、侵入された後の迅速な検知・対応を組み合わせた多層防御が必要です。

実践的なセキュリティ対策の推進

VPN機器の定期的なアップデートと、エンドポイント対策であるEDRの導入を最優先で進めましょう。

具体的なワーム対策として、まずは自社のVPN機器およびRDPの設定を見直し、多要素認証(MFA)の導入と不要な外部アクセスの遮断を行います。同時に、国内企業の多くが未導入であるEDRを展開し、万が一マルウェアが侵入した際にもリアルタイムで検知・隔離できる体制を構築します。これらを含めた強固なセキュリティ対策を整備することが、事業継続の鍵となります。

読後すぐ使えるセキュリティ対策チェックリスト

以下のチェックリストを活用し、自社の現状のセキュリティレベルを今すぐ確認してください。

  • VPN機器やルーターのファームウェアは過去1ヶ月以内に最新版へアップデートされているか

  • リモートデスクトップ(RDP)はインターネットに直接公開されず、多要素認証(MFA)が必須化されているか

  • 社内の全PC・サーバーにおいて、従来型アンチウイルスだけでなくEDR(Endpoint Detection and Response)が稼働しているか

  • OSや主要ソフトウェア(ブラウザ、Office等)のセキュリティパッチは自動適用の設定になっているか

  • ランサムウェア感染を想定し、ネットワークから切り離されたオフラインバックアップを定期的に取得しているか

よくある質問

ワームやウイルスの対策について、情報システム担当者からよく寄せられる質問にお答えします。

Q:スマートフォンもワームに感染しますか?

A:はい、感染します。「モバイルワーム」と呼ばれる種類が存在し、SMSのリンクや悪意のあるアプリを経由してデバイスに侵入し、連絡先情報を盗み出したり、他の端末へ拡散したりする危険性があります。OSやアプリは常に最新版に保ちましょう。

Q:ウイルス対策ソフトだけでワームを防ぐことは可能ですか?

A:従来型の対策ソフト(EPP)だけでは不十分です。既知のマルウェアは防げますが、ゼロデイ攻撃や高度な偽装を施した最新のワームはすり抜ける可能性が高いため、侵入後の不審な挙動を検知してブロックするEDRの導入を強く推奨します。

Q:最新の「AIワーム」とは何ですか?

A:生成AI(LLM)のシステムを悪用して自己増殖する新型のマルウェアです。ユーザーがメールのリンクをクリックしなくても、悪意あるプロンプトをAIが自動処理するだけで機密データを盗み出し、スパムとして勝手に複製される「ゼロクリック感染」の仕組みを持っています。

まとめ

ワームは、宿主となるファイルを必要とせず単独で自己増殖し、ネットワークを介して爆発的に拡散する極めて危険なマルウェアです。近年のワームはランサムウェアと統合されて多重恐喝を引き起こし、KADOKAWAのような日本を代表する企業においても数十億円規模の甚大な被害をもたらしています。自社のビジネスを守るためには、「アンチウイルスソフトを入れているから安全」という古い常識を捨て、VPN機器の厳格な脆弱性管理と、侵入後の迅速な対応を可能にするEDRの導入など、多層的な対策を早急に講じることが求められます。

今すぐ取り組むべきネクストアクション

  • ✅ 自社のVPN機器・ルーターのファームウェアバージョンと最終更新日を確認する

  • ✅ RDPのインターネット直接公開有無と多要素認証(MFA)の設定状況を点検する

  • ✅ 社内端末へのEDR導入状況をリストアップし、未導入機器を特定する

  • ✅ OSおよび主要ソフトウェアのセキュリティパッチ自動適用が有効になっているか確認する

  • ✅ オフラインバックアップの最終取得日と復元テストの実施記録を確認する

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team

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